焙煎機が稼働する室温環境は16-27℃とします。ほとんどの業務用焙煎機の場合は適正火力になるように設定されていますが、釜の容量75%の豆が12分以内でローストできれば火力は充分です。ドラム式焙煎機の場合は風量やダンパーは変えるべきではないと推奨されます。なぜなら火力以外の可変要素を加えた結果、変動項目が多く煩雑になり、再現性が困難になるからです。
次の図は焙煎時に起きる全ての事象をまとめたものです。主に半熱風式ドラムロースターの焙煎曲線とRORの変化を表しています。
図の解説/焙煎の手順
生豆の硬度、密度、水分値や精製によって判断。
- 生豆(水分量10-12%)を投入/投入時の釜の温度は機器にもよりますが、ボトム温度はX℃。
- 1分位かけて釜温度が下がります。熱の移動は高い温度から低い温度へ移行します。冷たい豆によって釜の温度が下げられ下がりきった時点がボトム、切り返し地点がターニンングポイント。
- 豆温度が上昇に転じ、ドライングフェイズ(水抜き)に入ります。この時、最初の1〜2分は沸点に達しないため大きな水分放出はありません。
- 135〜140℃に達する時点で豆をテストスプーンで確認。緑がなくなり黄色くなって干し草っぽい匂いが消えた時点がゴールドポイント。RORは変化していきます。RORとは一定時間における温度上昇率です。機種によって30秒の場合と1分の場合があります。
- メイラードフェイズに入り豆が褐色化していきます。水分が減少した地点で豆に火が入りやすくなる傾向があります。
- パンやナッツのような香りで豆の色が茶色くなっていきます。
- 豆の温度がXXX℃になった時点で1ハゼ(ファーストクラック)が始まります。温度表示は焙煎機によってまちまちです。
- 1ハゼが始まって取り出すまでの時間はデベロップメントタイムといいます。
- 1ハゼが激しくなってくると急激な水分蒸発が起きるため一時的にRORは下がります。
- 1ハゼが終わらないうちに取り出す豆、完全に終了させてから取り出す豆、2ハゼを入れる場合など豆によって焙煎度合いは変えます。
- 2ハゼ付近に近づくとRORはまた上昇に転じる傾向にあります。
- 取り出しは「End」といいます。焙煎された豆(水分量1.5-2%)が完成します。
- クーリング皿で急速に冷やします。
焙煎豆について
まず豆(Whole)の色を計測します。そしてグラインダーで細かめに挽き(840μメッシュを70%以上通過)グラインド(Ground)の色を計測。
CQIではW63/G80-84が鑑定基準。
総焙煎時間について
国際鑑定基準であるQグレーダー/アラビカでカッピングする際は総焙煎時間は8分から12分の間とされます。つまり100℃を起点としてRORが5℃台で約8分でファーストクラックが始まる計算です。近年はよりフレーバー出現を目的として6分前後とも設定されますが焙煎機器によります。
1st Crack6分を狙ったギーセンW1AでのW63/G82焙煎例。RORジェットコースター型メイラードフェイズロングタイム曲線(筆者命名)↓。
総焙煎時間における割合
ドライングフェイズは35-40%、デベロップメントタイムは20-25%が適切とされますがこれはギーセン公式サイトやスコットラオが収集した数百台に及ぶ焙煎機が基準であり、釜のサイズや火力、ガス火なのか電気なのかによってもまちまちでありあくまで目安となります。
カッピングのタイミング
焙煎後8時間以上24時間以内で常温静置。