伝導熱と対流熱について
珈琲豆に熱を加えると焙煎できますが、熱には主に、伝導熱(コンダクション)、対流熱(コンベクション)、放射熱がありますが珈琲焙煎では伝導熱と対流熱を利用した機械が主流です。
伝導熱と対流熱は、熱伝導のメカニズムに基づいて異なる方法で熱を伝える現象です。
伝導熱は、物質内部での熱伝導によって生じます。物質の分子や原子は熱エネルギーを持っており、高温から低温へとエネルギーを伝達します。伝導熱は、直接接触している分子や原子同士の間でエネルギーが伝わるため、固体や液体の中で主に起こります。例えば、熱い鍋やフライパンの底から熱が底全体に広がるのは伝導熱で、目玉焼きを作るのがこれにあたります。
一方、対流熱は、流体(気体や液体)の移動によって熱が伝わる現象です。流体の移動によって高温と低温の領域が混ざり合い、エネルギーが伝達されます。対流熱は、風や水の流れ、自然対流(熱の上昇と下降)など、流体の動きによって引き起こされます。例えば、風が肌に当たって冷たく感じるのは、風による対流熱の効果です。
このほか、放射熱(輻射熱)があります。ハロゲンヒーターなど高温を発する熱源から放射される赤外線によって光エネルギーが熱に変わります。豆の表面のみを加熱する傾向にあります。例えばアメリカのデードリッヒなど一部の機種では、ドラムを囲う反射板によって赤外線効果をもたらし、伝導熱方式でありながら放射熱効果を取り入れた焙煎機もあります。日本製のフジローヤルや東京産機焙煎機では購入時にドラムに孔の空いた直火式を選択できるようになっています。
そのほか、ドラム表面に孔が空いている機種は直火式と呼ばれ、伝導熱と放射熱、対流による焙煎となります。小型の手回し式焙煎器具やサンプルロースター、電気式の小型焙煎器具や、ガス火の上で金網製の銀杏炒り器による焙煎が放射熱にあたります。
珈琲豆の伝導熱と対流熱についてわかりやすい動画
簡単に言えば、伝導熱は物質内部でのエネルギーの直接伝達による熱伝導であり、対流熱は流体の動きによるエネルギーの輸送による熱伝達です。次の動画で珈琲豆を例にしてわかりやすく解説されています。